総距離100マイル(約160キロ)にもおよぶ富士山麓のトレイルと、それに携わる人々と文化をつなぎます。不眠不休で走り続けるレースを通し、自らに挑戦することの大切さとトレイルランニングというスポーツの魅力を広めます。また、比類なき日本の財産である富士山の文化と自然の素晴らしさを、世界中、そして次の世代に伝えていきます。

RACE CONCEPT

「これは自分の心を試す旅なんだ。」
全盛期闘い続けたUTMB終盤。
経験のない苦しみ、そして絶望のなかで、私を支えてくれたのはこの言葉でした。
この言葉を胸に素晴らしい景色のなか、そしてサポートスタッフや観衆に支えられこの壮大で厳しい旅を終えることができたのです。
UTMBは自分の隠された可能性とともに「この感動的な舞台を日本へ」という夢を私に与えてくれました。
しかし、この夢は簡単なものではありませんでした。
多くの苦難を仲間達と乗り越え、2012年の第1回大会がスタート。
そして荒唐無稽と思われたこの大会もこの場を愛する多くの皆さんに支えられ10年以上の歳月を経ることができました。
来春の2024年大会は10回目の開催となり記念すべき節目となります。
私たちは今、この先10年、20年と進化し拡がり続ける大会となるべく大きな潮流を改めてつくりたいと思います。
大会を通して仲間や家族との繋がり、世界中の方々との交流、そして自らの未知なる発見というこの壮大な旅の魅力をより社会に広く伝えてゆきたいと思います。
~「EMOTIONAL DISCOVERY」~
人は旅の中で自分を知り、強くなり、そして豊かになる。
この先も皆さんとともに歩み続けたいと思います。
大会会長  鏑木 毅

COURSE CONCEPT

Mt.FUJI 100 の「起承転結」
"富士山を歩く"と云えば99%のヒトにとって、クルマで五合目まであがってから山頂を目指して歩くことだと思います。日本で一番高い場所を目指して歩くことは素晴らしいけれど、そこは水も植物もなく、溶岩と砂礫と階段と山小屋だけの荒涼とした場所です。もう少し視線を下げて富士山麓を眺めてみると、美しい原生林からなる山や森が広がり、澄んだ湖が点在し、情緒ある旧い街並みや史蹟が残されています。世界でも有数の美しい場所である富士山麓の清々しい空気の中を、雄大な自然や深い歴史を感じながら走って頂きたいと考えて、Mt.FUJI 100 のコースを設定しました。
私がレースコースをプロデュースする際に大切に考えていることは、ストーリーのあるコースを創ることです。考えうる全てのトレイル(ロードも)を自分の脚で繰り返し走って、100マイルのなかに「起承転結」を盛り込みます。そして様々な場所から富士山が見えるように設定しています。
"起"
レース序盤は、富士山1〜2合目の豊かな森のなかの緩やかなアップダウンを走ります。深い森を走り富士山麓の空気にカラダが馴染んできたところで、レースは山岳エリアへと進みます。
"承"
レース中盤では富士西麓に細長く連なる天子山地、青木ヶ原樹海、富士北麓の里山、古いモノと新しいモノが美しく同居する市街地のロードなど、様々な景色をつないだコースを走って頂きます。越える山々は瑞々しい原生林が美しい里山です。そのなかで特に注目して頂きたいのは青木ヶ原樹海です。ネガティブなイメージで語られることの多い樹海ですが、ここは世界でも有数の美しい森です。今から1200年ほど前まで富士山北西麓には剗の海(せのうみ)と呼ばれる大きな湖がありました。西暦864年(貞観6年 平安時代)の富士山の噴火で大量の溶岩が流れ出て、剗の海のほとんどは埋まってしまいました。分厚く広大な溶岩が冷え、長い年月をかけて土が積もり、樹木が生繁って出来たのが青木ヶ原樹海です。多彩な植生と苔むした溶岩と木洩れ陽が織りなす風景は、この世のものとは思えない美しさです。
"転"
レース後半山中湖きららエイドを過ぎたところから、コースの様相は一変します。序盤~中盤の山々は標高1200〜1400m 程度の緩やかな里山でしたが、ここからは長く険しい山岳エリアとなります。明神山~高指山~山伏峠~石割山が息つく間もなく続き、ラスボスの杓子山が待ち受けています。岩をよじ登り、延々と続くトレイルを登り切るとコース最高地点(1597m)の杓子山頂です。正面に富士山を仰ぎながら“天空の鐘”を鳴らしてください。
"結"
富士吉田エイドからフィニッシュまではウイニングラン区間とも言われますが、もうひとつのラスボス(霜山)が待ち受けています。ここまで150km 走って疲労し切ったカラダで登るウネウネとしたトレイルは、時に気が滅入りそうになります。稜線まで登り詰めた後は心を解き放って走ってください。天上山頂から富士山とその裾野に広がる煌めく街並みを眺めた後は、一気に市街地に降りて100マイルの旅は終わります。
走って頂くコースが、日本全国そして全世界から参加してくれる選手の、大切な人生の思い出の場所になれば幸いです。
レースプロデューサー 福田六花
Ricka Fukuda

大会理念

「自分自身を探究する」
この大会は他の選手に勝つことやスピードを競うことが目的ではありません。富士山を巡る100マイルもの長いトレイルの旅を通じて自らの肉体と精神の可能性を発見し、その限界を広げていくことを目指します。
「自然環境を尊ぶ精神を養う」
日本には古くから自然と共に生きる文化がありました。しかし、現代の人たちはそれを見失いがちではないでしょうか。この大会ではトレイルランニングというアウトドアスポーツを通じ、参加するすべての人が自然との共存を実感し、自然を愛し敬う精神を育むことを目指します。
「すべての人々とトレイルを共有する」
トレイルは、山で暮らし、働き、楽しむ、たくさんの人々の営みから作られたものです。その先人たちに敬意を払うと共に、トレイルを利用するすべての人々とその価値を共有し、お互いを尊重し、世界中の人々と感動を分かち合うことを目指します。

マウントフジ100は世界各国とつながっています。

マウントフジ100は「国際トレイルランニング協会」のメンバーです。世界各国のトレイルランナー、運営スタッフと交流を深めてトレイルランニングを盛り上げています。

国際トレイルランニング協会(ITRA)

2013年7月に設立されたトレイルランニングの国際的な統括団体で、国際大会やエリート選手を広く社会一般に認知させています。また、スポーツ倫理・アンチドーピングの推進、ルールの整備、大会組織の質や選手の安全面の向上、自然環境への貢献など幅広い事業を行っています。この国際組織には各国を代表する協会だけではなく、大会運営者、選手個人も加入できて、さまざまなサービスを受けられます。マウントフジ100はこの国際トレイルランニング協会に加盟し、国際的なトレイルランニングの発展に協力しています。

http://www.i-tra.org/(英・仏・西)